サポートパッケージスタック方針
一般的なサポートパッケージ適用に即したサポートパッケージスタック方針
多くのお客様は、本稼動で使用している各 SAP アプリケーションに対して年に 1 回から 4 回の計画メンテナンスを行っていらっしゃいます。通常、こうした計画メンテナンスは SAP アプリケーションのすべてのコンポーネントが対象となります。
ただし、実際に計画メンテナンスを行う頻度は以下のようなさまざまな要因に左右されます。
- SAP アプリケーション自体の状況(技術的な条件、法改正など)
- お客様側の個別の状況(製品、本稼動ステータスなど)
- 最新のサポートパッケージまたはパッチレベルで稼動していることによるメリット(特に SAP サポートが必要な場合)
- 計画メンテナンスの推定コスト
計画メンテナンスの最適なタイミングと頻度を定義するための一般的なルールを策定するのは難しいため、状況に応じて何が最適か判断する必要があります。少なくとも年に 1 回、できれば 2 回から 4 回の計画メンテナンスを行うことを推奨しています。
SAP では、プロアクティブな計画メンテナンスにより、利用可能な最新のサポートパッケージスタック(SP スタック)が適用され、1 年以上前の SP スタックが使用されていないことを前提としています。それにもかかわらず問題が発生する場合には、SP スタックで記載された内容よりも新しいサポートパッケージまたはパッチの適用をお願いすることがあります。
計画メンテナンスとは別に、予期せぬ問題をできる限り速やかに最小限の工数で解決しなければならないことがあります。そのような場合、影響を受けるコンポーネントのテクノロジーと問題の種類に応じてさまざまな方法が利用できます。ABAP ベースの修正指示は局所的かつ特定の問題を解決し、カーネルパッチは特定の問題を解決するというより技術的な原因による複数の問題を解決します。
近い将来に SAP アプリケーションのアップグレードや拡張パッケージ の適用を行う予定がある場合、アップグレード等価性情報に留意する必要があります。アップグレード等価性により、元のリリースと対象のリリースのエラー修正レベルが一致します。元のリリースで適用されているサポートパッケージは、対象リリースに対して該当する等価のサポートパッケージが適用される必要があります。これは、SAP NetWeaver、SAP アプリケーション、アドオンなどが該当します。つまり、元のリリースに適用されているサポートパッケージレベルと等価または上位のサポートパッケージレベルにあたる対象リリースへのアップグレードが可能です。したがって、アップグレードを開始する前に、元のリリースと等価のサポートパッケージレベルが対象リリースで利用可能なレベルであるかを確認してから、元のリリースで最新の SP スタックを適用することを推奨します。
通常、元のリリースには等価性の対象リリースより低いSP スタックのサポートパッケージレベルが適用されるべきではありません。アップグレード前のサポートパッケージのインポートに関する詳細については、SAP ノート 832594 を参照してください。
計画メンテナンスと個別の修正を総合的に組み合わせた連携
SP スタック戦略は、計画メンテナンスとその間に提供される個別の修正を総合的に組み合わせて相互に連携させます。
- SP スタックでは、異なるコンポーネントバージョンのサポートパッケージレベルを指定された組み合わせで提供します。指定された以外の組み合わせは、例外的なケースに限って提供されます。
- SP スタックには、本稼動環境では使用されないソフトウェアコンポーネントが含まれている場合があります。使用されるコンポーネントに対する技術的または論理的な依存関係が存在しない限り、SP スタックの適用時にこれらにパッチを適用する必要はありません。
- SP スタックを四半期または半年ごとに適用することによって、定期的な計画メンテナンスを補完します。ただしこれは、計画メンテナンスを必ず四半期ごとに行わなければならないという意味ではありません。上述の要因に応じて、新しいサポートパッケージレベルやパッチの適用を必要とする問題が発生しなかった場合は、当初の SP スタックの適用を先送りすることができます。これによって適用が見送られたサポートパッケージは、次回の SP スタックで適用できます。
- 法改正に伴い、SAP HR アプリケーションでは通常の SP スタックよりも高いメンテナンス頻度が必要とされています。2 つの SP スタック間で、追加のサポートパッケージや国別法改正 (CLC) が提供されます。
一般的に、SP スタックにはそのリリース日時点で利用可能な最新の HR サポートパッケージレベルが含まれています。つまり、SP スタックが利用可能になった直後に計画メンテナンスフェーズを開始すると、最新の HR サポートパッケージが自動的に提供されます。一方、計画メンテナンスを後で実行する場合は、新しい HR サポートパッケージレベルが提供されているかどうかを確認し、提供されている場合はそれを適用して法的要件を満たします。
場合によっては、SP スタックの一般リリースおよび既知の問題を優先して通知するため、リリース情報ノート (RIN) が使用されます。重大なエラーは、SAP HotNews でも通知されます。
サポートパッケージに関連する追加の副次的影響に関する情報は、SAP for Me から直接確認できます。詳細については、Side Effects of SAP Notes および SAP ノート 2388572 を参照してください。
SAP Support Portal では、最新の SP スタックで定義されているバージョンよりも新しいサポートパッケージやパッチが提供されている場合があります。ただし、特に問題がない限り、一般的には SP スタックで指定されている組み合わせを使用することが推奨されます。これらの新しいサポートパッケージやパッチは、上述の特殊なケースを想定して作成されています。
追加でインストールしたコンポーネント(アドオンなど)には追加のサポートパッケージが必要な場合があります。それらが SP スタックのダウンロードに含まれていない場合は、SAP Support Portal からマニュアルでダウンロードしてください。